2012.02.20発行WIND FROM FUTURE Vol.34
2012.2.20発行
目次
■床下換気装置ユーザーへのアプローチフローチャート
■床下換気 新型タイマー4/1〜切替になります
■次世代型床下換気システム特長をまとめました
□「防犯カメラ」の効果と活用方法
□押入・クローゼット換気キャンペーン
HISTORY OF S ~SEIHO小史~
第34回「新商品開発」
一連の新商品開発の前に、開発された天井換気扇「風之介」に触れておこう。今では床下換気扇「風太郎」とならぶヒット商品となったが、開発のきっかけは昭和五十七年にさかのぼる。
たしか六月のはじめだった。
「床下換気扇を天井に付けられないか」
と、佐賀県担当のバイヤーが言ってきた。そこは鹿島市の縫製工場。工場内でスチームアイロンを使ううえに、屋根がトタンぶきだから、大きなクーラーを据えつけていても、音のわりには室温はいっこうに低くならなかった。クーラーを増やすには、電気の容量を大きくする工事をしなければならなかった。
「そんな大工事の費用はない」と、経営者はいう。
「天井裏に断熱材を敷き詰めるとか、大型換気扇をつけるとか、何とかうまか方法はなかですか」
「夏までに何とかしますから、ちょっと時間をください」
一カ月ほど考える時間をもらった。夏場になると、天井裏は熱気がたまって、五〇度をゆうに超える。この熱気を強制的に外して、外気の温度にまで下げてやれば、冷房は効くようになるはずだ。だが、問題は騒音だ。床下はファンの音は響かないが、天井はそうはいかない。
梅雨が明ける前に試作品ができた。音を迎えるために屋根の裏に直接、換気扇を取り付けた。一〇個取りつける作業中にも、天井裏にもぐった作業員の一人が、熱気にやられるほどだった。
スイッチを入れファンを回すと、天井裏によどんだ六〇度の熱気は外に押し出され、外気温度に近づいていた。と、室内のクーラーが効きだした。こうして天井換気扇は世にでた。瓦屋根の家ならば、瓦の形に合わせたファンを造った。
問題は日本の屋根瓦の種類が多く、規格品を大量に造ることができない点だ。長男の龍也が「風之介」と命名し、現在、六種類ほど製品化している。
私は新しい商品の開発にチャレンジしているが、その基本テーマは、湿気対策である。まず、貯水層のない家庭用ボイラーを造った。次に、マンションの押し入れの湿気にも取り組んだ。二種類の除湿機を造った。それから、洋服ダンスや衣装ケース。最も難解な風呂の湿気にも挑戦した。この工事は大掛かりになるため、維時・補修に後々までわずらわせられるという問題が残った。
商品開発の成否は、消費者のニーズに沿うものかどうかだ。大企業ならば大々的な市場調査もできようが、中小企業ではそうもいかない。その際、私は女性の意見を聞くことにしている。女性が消費の実権を握っているからだ。ヒントも彼女らが与えてくれる。女性に勝るモニターはいない。だから、女性が集まる会合にはできるだけ出席し、彼女らの意見に耳を傾けることにしている。
新商品の魅力は、前にも言ったが、こちらの側で値段をつけられることにある。月産三〇〇個でも、採算がとれるようであれば、私は製造する方針だ。大量生産はもうけが多いかもしれないが、莫大な設備投資を伴いリスクも高い。バブルがはじけた今は、そんな時代ではなくなった。堅実な経営が求められている。