2011.01.1発行WIND FROM FUTURE Vol.31
2011.01.01発行
目次
■冬こそ小屋裏換気を!
■マンガによるPRリーフレット/小屋裏換気編
■おかげさまで「床下換気」発売30周年!
■年間を通じ、適切な床下換気を実現させるために
■電気工事士資格について
□オリジナル「無線パッシブセンサー」発売します!
□SEIHO換気シリーズ用モータの安全性を強化しました
HISTORY OF S ~SEIHO小史~
第31回「経営難にも温かい声」 ー後編ー
前述したように代理店方式の販売ははかばしくなく、そのうえ私がモータの技術指導で、営業に回れなくなった。そのため月の販売は四〇〇セット台にまで落ちていた。
工場の人件費を加えると、毎月の経費は一〇〇〇万円ほどだった。運転資金にこと欠くようになった。無借金経営でやってきた私も、そうも言っておれなかった。昭和六十一年十一月ごろには借金は、一億円の大台に達した。材料の仕入れ業者など代引先のツケも、およそ四〇社、総額三億円にのぼった。年の瀬を控え、どうやって年を越そうか、毎日そのことばかりが頭にあった。いつ身売りしようか。借金は私がかぶるとしても、従業員の生活は誰に託せば良いか。この不景気に、引き受け手はいるのだろうか。心は千々に乱れるばかり。
「西邦電機は倒産した」
「大石社長が夜逃げして、行方不明になっとる」
このようなうわさが流された。床下換気扇を売るライバル会社が、故意に流したものだった。その時点で自社モータ生産にめどがつき、私は「プッシュ・ファン」の営業に再び出れるようになった。
ツケをためた取引先へは、「今度から材料費は現金で仕入れます。これまでの借金は年二回、七年間で完済しますから、それまで待ってもらえませんか」と、頭を下げてまわった。口きたなく罵るところもあったが、ほとんどの取引先が、「待ちますから大石さん頑張ってください。」
快く了承してくれたから、私はまた営業に出ることができた。