2004.10.1発行WIND FROM FUTURE Vol.07
2004.10.01発行
目次
■「24時間換気サポートシステム」ハイブリッド・ブロワー軒換気構成案一覧表
■「顧客接点強化商品」フィトンチッド
■検証 コンピュータシミュレーション
■検証 床下換気扇による結露解消実験
□寿命試験室とは
□第34回建築総合展NAGOYA2004に出展致しました。
HISTORY OF S ~SEIHO小史~
第7回「昇 任」
モーター製造の全権を掌握した大石は、現場を取り仕切って、順調だった。毎日の仕事はスムーズに流れ、何の問題もなかった。
そんなある日、大石は、事業部長に呼ばれた。
「君んところで、課長一人めんどうみてくれんか?」
事業部長の話とは、モーター部の主任の大石と部長との間に、モーター製造課長をおくということだった。「命令系統がややこしくなる」と、大石は拒んだが、部長の「頼むわ」に、おれた。
迎えられた製造課長は、現場の声を代弁してくれるような人ではなかった。上にものを言わないばかりか、できもしないことまで引き受けてしまうこともあった。
ほどなくして、新参課長は職場で遊離するようになり、大石が危惧していたごとく、実務で職場を動かす大石と課長との指示が食い違い、現場に混乱が生じるようになっていった。大石は、またも事業部長に呼ばれた。
部長は、大石に外注管理への移動を告げた。プレスから移動に次ぐ、二度目の配置転換。大石はしたたかに対応した。「一つ条件があります。新しい部署での全ての権限を、わたしにください」。モーターでの仕事を評価していた部長は、その言葉を快諾した。
大石が外注管理にまわって三ヶ月もたたないうちに、例の課長は現場を掌握できず、工場長がモーターの現場をみることになった。工場長がそれまでみてきた小型モーターの職場を任されることになったのは、大石であった。
小型特殊モーターであれ、慣れ親しんだモーター製造の現場に戻った大石は、現場をまとめ、順調に仕事をこなした。
やがて、事業部長からの要請があり、大石は、課長への昇任試験を受けることとなった。
昇任のための半年間の社内研修が終わるころ、面接が行われた。しかし、そこで問われた質問内容は、担当部署の現状を尋ねる程度にすぎなかった。失望した大石は「管理職になろうかという者に、新入社員のような面接は時間の無駄です」と言って退席してしまった。常に現場にあり、自分の創意工夫で職場を切り盛りしてきた大石は、会社の組織や経営に及ぶような自分なりの考えを述べなかった。その熱意が、空回りした。大石は、なかば昇任をあきらめた。
数日後、二次面接が行われた。事業部長に説得された大石は、再び面接を受けた。部長クラスによる面接は、一次とは異なり、適確な質問が相次いだ。大石は、日頃からの考えを率直に述べた。
数ヶ月後の昭和四七年五月、大石は、課長に昇任した。
SEASONS COLUM -風と住まい-
『天井裏換気に注目を』
屋根は住宅を長持ちさせる重要なポイントであることはよく知られている。雨水、風、直射日光をさえぎり、家を守ってくれる。では天井裏はどうだろうか。高気密、高断熱工法によって夏場は天井裏の熱気が50度を超えたり、室内と外気の温度差によって躯体内部や天井裏内部の結露で腐朽菌が発生したり、シックハウス法施行以前の接着剤を多量使用した合板が大量に使用されてホルムアルデヒドが発生する空間であることはあまり知られていない。
「リフォームでよく天井裏に登るけど夏場のあのすごい熱気で汗は噴き出すし、目はチカチカして5分も中に入っていられない。なんとかならんかね」といつも出入りするハウスメーカーの課長さんから言われたときにピンときた。また時期もシックハウス法がもうすぐ実施というときだったのでいろいろ資料集めて考えた。その結論はこれからの住宅は天井裏の強制換気が絶対必要だと。
さっそく西邦電機の営業マンに電話し、「何かいい換気扇はないか」と尋ねたところ、タービン・ブロワーを紹介された。自宅に取り付けてテストしようと思ったが家の屋根はノズルが取り付けられない構造だったため専用の棟換気ノズルも試作で作っていただき、テストをした。温度変化のデータやスモークをたいて強力な風の流れも確認した。
そうすると以前は2階に上がったときのムッとくる暑苦しさがあまり感じられなくなり、2階独特の嫌な臭いもなくなっていた。ハウスメーカーにも天井裏の強制換気を提案して採用していただいた。今度天井裏換気扇の24時間タイプが発売されたのでシックハウス法対策としていろんな場所で提案していきたいと思っている。
有限会社住環境整備 アクア事業部 専務取締役 久永 貞徳 氏 積水ハウス指定工事店