2005.07.1発行WIND FROM FUTURE Vol.10
2005.07.01発行
目次
■床下換気の新基準「タービン・ユニット」。7/21発売開始。
■タービン・ユニットの特長
■ハイブリッド・コントローラーの自動運転について
■風太郎・風之介・床下乾々がリニューアルされ発売となります。
HISTORY OF S ~SEIHO小史~
第10回「お土産 -2-」
手土産の効き目はあったが、それはあくまでも「お近づきのしるし」。
「撒き餌」でしかなかった。「撒き餌」はいつまでも通用しない。私という人間を知ってもらってからは、一に私の人間性にかかってくる。
そのとき、私が現場からのたたきあげであるという事が意外に役に立った。相手の考えているモーターは製造可能であるか。可能ならコストはどうか。可能でありコストも見合うのならどれくらいの日程で納められるか、相手が知りたい情報は具体的な事だったのである。
商談の場で、私はおおよその見当をつける事ができた。分からない時は、その場から会社に電話を入れ、最もふさわしい責任者へ直接尋ね、的をえた質問や要望、的確な指示を行った。その電話のやり取りを聞いて、ほとんどの相手が安心し、私を信用してくれた。「松下電器産業さんに尋ねたら、二ヶ月経ってもまだなしのつぶてやわ。
なに、あんさんのとこは一週間でわかりますのか。そうか。あんさんの所でできるのやったら頼みますわ。造ってや」
お客様からこういう言葉を引き出すことができた。
信用がつくと私は会社の「営業に回るときはバスか電車を利用すること」という内規を無視してタクシーで得意先を回った。効率の悪いバスや電車でやっと3ヶ所訪問するのではなく、タクシーを使って六、七ヶ所訪問して成績を上げたほうがよい。
営業は数字が勝負。数字を上げることが会社の為であり、足を引っ張るような内規は無視してもかまわない。私はこのように合理的に考えていた。
また、私は得意先を訪問する場合は必ず『お土産』を持参した。得意先が本当に欲しがっている情報や提案がその『お土産』だった。
だから得意先の内部の動きはできるだけ探った。工場を見せてもらった時等は、お世辞を言うのではなく、私が気づいた改善すべき点を率直に言った。相手は喜んで予約無しで訪問しても、私に会ってくれるようになった。