2009.07.21発行WIND FROM FUTURE Vol.26
2009.07.21発行
目次
■天井裏の熱気&結露対策
■遮熱塗料「ジアス」効果検証
■新規取り扱い商品紹介
HISTORY OF S ~SEIHO小史~
第26回「プッシュ・ファンで売り出す」ー前編ー
床下換気扇の商品名は、平成三年春から「風太郎」としているが、当初は「プッシュ・ファン」と名づけた。
昭和五十六年十一月、一〇〇セットの販売を目標に売り出した。現在では、すべて自社で製造し、月産三〇〇〇セットが追いつかないほど、売れに売れている。
「プッシュ・ファン」を開発していたころは、前述したとおり会社の経営が非常な危機にあったため、その費用は私のポケットマネーから出した。「プッシュ・ファン」ができても大々的な宣伝は一切できなかった。そこで会社の名前が少しは知られている、地元長崎でまず発売した。しばらく様子をみて、反応が良かったら、福岡、九州各県、全国へと、三年計画で販路を広げていく腹づもりだった。
そのために、二、三人の営業社員を入れ、また、営業に向いた工員一、二人を営業にまわした。取引先銀行の各支店の中から住宅関連会社を紹介してもらい、西日本地区は営業マンを担当させた。私は大阪の知人がもっていた松下電工のルートをたぐって、全国の電機材料問屋の中で、地域ナンバー1といわれるところを中心に訪問した。
目に見えない床下の湿気を取る商品はこれまでなく、説明して納得してもらうまでに時間がかかった。
しかも、電機材料問屋はたくさんの取り扱い商品をかかえており、新製品の「プッシュ・ファン」にまで関心を示す人はわずかだった。
昭和五十七年半ばまで、およそ半年間、全国の電機材料問屋に足を運んだが、芳しい実績は得られなかった。
次に大手の住宅メーカーに売り込んだ。住宅だから需要があるかと思ったが、意外なことに新築住宅に床下換気扇を付けるメーカーはなかった。
アイデアについては自信があった。しかし、悲しいことに、商品そのものの知名度はゼロに等しかった。