2004.07.1発行WIND FROM FUTURE Vol.06
2004.07.01発行
目次
■【24時間換気サポートシステム】ハイブリッド・ブロワー+システムコントローラー新発売。
■セキュリティシステム「ライフディフェンス」発売開始
□簡易無響室の紹介
□撹拌型送風機差し止め請求に対する裁判所の決定について
□「住環境&ヘルスケア西日本2004」に出展しました。
□「第10回建築リフォーム・リニューアル&コンバージョン展」に出展しました。
HISTORY OF S ~SEIHO小史~
第6回「モーター製造全権掌握」
昭和三五年八月、テレビ、洗濯機、冷蔵庫のいわゆる「三種の神器」のフル生産におわれていた大阪の松下電器産業は、「ホームポンプ」の生産を九州松下に移行することを決めた。
当時の日本の家庭には、まだ井戸を利用する家庭が多く、モーターを利用したホームポンプへの需要は急増し、ポンプモーターの生産は、最盛期に達していた。
大石がモーター部の主任となったころには、生産が追いつかなくなっていた。モーター部には二〇〇人からの人員がいたが、ささいなトラブルが起こるだけで、収入が遅れてしまうという状況がつづいていた。
困り果てた事業部長は、現場主任の大石に相談をもちかけた。
大石には、アイデアがあった。
「私には考えがあります。二ヶ月の時間と、三〇万円ほどの予算をください」。
事業部長は、大石の申し出を了承した。
大石は、三〇万円で台車を購入した。それは、モーターをストックしておくための「場所」の確保だった。大石のアイデアは「標準在庫を確保しておく」ということにあった。
約束の二ヶ月後、台車には、三〇台のモーターがストックされていた。以後、何らかのトラブルが生じて生産が遅れても、納期の遅れはなくなった。
やがて大石は、洗濯機モーターの製造主任となり、大阪の松下電器産業で行われる会議への出席が増えた。会議は翌月の生産予定の打ち合わせが名目だったが、実際は、納品したモーターの品質が厳しく問われる場だった。欠陥や問題点があった場合、製造の現場責任者の大石に対する厳しい指摘が相次ぐことになった。
大石は、ここでもアイデアを出した。
会議の一時間前に本社に入り、担当者に問題があったかどうかを聞き出し、問題点がある場合は、その場で九州の現場に電話し、改善を指示した。会議が苦手だった大石は、自分の「苦手」と向き合い、その対処法を考えることで、苦手としていた会議の処し方を得た。会議の前に問題点をクリアしておくことで、厳しい批判の矢面に立たされることはなくなっていった。
大石のアイデアが「効率」を追求するものでもあった。生産ラインの人員削減、製造計画の効率化などを次々と行った大石は、昭和四二年、三一歳でモーター製造の全権を掌握することになった。
大石がモーター事業部を全権掌握して以後、生産が計画を割り込むことは、検査機械のトラブルがあった年以外、一度もなかった。
SEASONS COLUM -風と住まい-
『木造建築物の劣化について』
地球環境に対する負荷の軽減が求められている現在では、住宅においてもフローだけでなく、ストックとして考えていかなければならない時代になっています。
これまでの住宅は、25~40年で解体されることが多かったのですが、社会資産として、住宅も60年ないし100年の耐久が望まれるようになっています。
木造建築物の耐久性を考える場合、構造である木材の劣化を防止することが何よりも重要です。木材の劣化現象の発生は、害虫、結露、カビ、雨漏りなどの原因によりますが、中でもシロアリによる被害が大きな割合を占めています。また、こうした木材の劣化の多くが床下に発生している点も見逃せません。床下環境を健全に保つことは、住宅を長持ちさせる上で大変重要な要素です。
技術の進歩により、長持ちする住宅が建設されるようになっていますが、建設後の正しい維持管理、住まい方が、その寿命に大きな影響を及ぼします。その点では、人間の一生と同じではないでしょうか。
水谷 章夫 氏
「健康住宅」についての様々な研究活動や人材育成、情報発信などを行い、行政や企業などにも働きかける公益的な存在であるNPO法人「日本健康住宅協会」の会員としても活躍中。
NPO法人 日本健康住宅協会 http://www.kjknpo.com