2009.04.21発行WIND FROM FUTURE Vol.25
2009.04.21発行
目次
■住宅用瑕疵担保履行法について
■天井裏の熱気・結露対策に!天井裏換気
■床下の結露・カビ対策に!床下換気
HISTORY OF S ~SEIHO小史~
第25回「床下換気扇の実験」ー後編ー
それから春が去り、さわやかな五月ごろ、不思議なことが起きた。あれほど家中を騒がせたムカデやゴキブリの姿を、ぱったり見かけなくなったのだ。周囲の様子が変わったのかと、休みの日に家の周りを回った。周囲の環境はそのままで、何の変化も認められなかった。
そのとき、ブーンとファンが回る音が、床下でしているのを聞いた。三ヵ月前、実験を終えた際、スイッチを切ったものと思っていたのだが、電源は入ったままで、回りつづけていたのだった。そのため床下が乾燥し、ムカデやゴキブリが居心地が悪くなって、どこかに逃げ出したらしい。押し入れの中もサラサラに乾いていた。
それから、工場内に模擬装置をこしらえて、実験をつづけた。床下を砂地にしたもの、土にしたもの、しかも、砂は川砂、山砂など、また土は正土、田の土、沼地の土などいろいろ変えて模擬装置を作った。いろんなケースで、濡れタオルが乾いていく様子をデータにとった。さらに床面積を変え、効果が現れる換気扇の台数もつかんだ。梅雨どきや雨天には駐車場にテントを張って、そこでも湿度の実験をした。
実験は雨季をはさんで、四年間つづけた。お客様からどのようなクレームや質問が寄せられるかわからない。どんなことにも対応できるように、万全を期した。
「これだけやれば大丈夫ですよ。社長」
と周囲が言っても、
「もう一回」
と、つづけた。
床面積三〇坪(約九九平方メートル)の住宅では、換気扇が三台。
四五坪(約一四九平方メートル)では五台で十分、というデータをまとめた。換気扇の仕様は、一日四時間回って、二十年間でも、焼けない、火を吹かない、摩滅しないように安全装置つきベアリングモーターを使った。
すべては昭和五十五年五月までに終わった。翌五十六年六月、通産省の電気用品申請をし、同年八月、大臣の許可がおりた。