「床下の湿気が多いので、床下換気扇を付けた方がいいと言われた」
「床下換気扇を設置すると、本当に湿気対策になるの?」
床下の湿気やカビが気になったとき、対策のひとつとして検討されるのが床下換気扇です。
床下換気扇は、住宅の構造や湿気の原因に合っていれば、床下環境を改善するための有効な方法のひとつです。
ただし、
「床下が湿っている=床下換気扇を付ければいい」
というわけではありません。
大切なのは、
なぜ床下の湿度が高くなっているのか。
そして、
その住宅は「換気」によって湿気を排出するのに適した構造なのか。
を確認することです。
床下換気・床下環境機器に長年携わってきたSEIHOが、床下換気扇の仕組みや効果、向いている住宅・向いていない住宅について解説します。
床下換気扇とは?
床下換気扇とは、床下の空気を機械的に動かし、湿った空気を屋外へ排出するための設備です。
従来の木造住宅では、基礎部分に設けられた「床下換気口」から自然に外気を取り入れ、床下を換気する方法が広く採用されてきました。
現在では、基礎と土台の間に基礎パッキンを設け、その隙間から床下全体を換気する「基礎パッキン工法」も一般的です。
しかし自然換気は、住宅周辺の風や建物の形状、床下内部の基礎配置などの影響を受けます。
たとえば、
- 周囲に住宅が密集している
- 塀などによって風が遮られている
- 増改築によって床下の構造が複雑になっている
- 内部基礎によって空気の流れが分断されている
- 住宅中央部まで空気が届きにくい
といった住宅では、床下に空気が滞留する場所が生じることがあります。
そこで、機械の力を利用して床下に空気の流れをつくるのが床下換気システムです。
床下換気扇にはどんな効果がある?
ここでひとつ、誤解しやすいポイントがあります。
床下換気扇そのものが、除湿機のように空気中の水分を取り除いているわけではありません。
床下換気扇の主な役割は、
床下に空気の流れをつくり、湿った空気を屋外へ排出すること
です。
湿った空気が床下に長時間滞留すると、床下の相対湿度が高い状態が続きやすくなります。
そこで、
空気を動かす
↓
湿った空気を排出する
↓
湿気が滞留しにくい環境をつくる
というのが床下換気の基本的な考え方です。
床下換気扇が向いている住宅
1.床下換気口がある住宅
基礎部分に床下換気口が設けられている従来工法の木造住宅は、床下換気扇を利用しやすい住宅です。
換気口があっても、住宅周辺の環境や床下の構造によって、自然換気だけでは十分に空気が動かないことがあります。
こうした場合、機械換気によって空気の流れをつくり、湿った空気を排出する方法があります。
特に、
「換気口はあるのに床下が湿っぽい」
という住宅では、一度床下の空気の流れを確認してみるとよいでしょう。
2.基礎パッキン工法の住宅
基礎パッキン工法では、基礎と土台の間に設けられた隙間を利用して床下を換気します。
住宅全周から空気を取り入れやすい構造ですが、建物の形状や床下内部の基礎配置、周囲の風環境などによっては、部分的に空気が滞留する場合があります。
こうした住宅でも、床下の状態によって機械換気を利用する方法があります。
ただし、従来の床下換気口に取り付けるタイプとは設置方法が異なるため、基礎パッキン工法に対応した床下換気システムを選ぶことが重要です。
SEIHOでは、基礎を傷つけず、基礎パッキン工法にも対応できるブロワー型床下換気システムを用意しています。
▶ 製品情報:タービン・ブロワー/ブロワー型床下換気システム
3.床下の一部だけ湿度が高い住宅
床下の湿度を複数箇所で測定すると、
「外周部は比較的乾燥しているのに、住宅中央部だけ湿度が高い」
というケースがあります。
これは床下全体に十分な空気が行き渡っていない可能性があります。
この場合に重要なのは、単純に排気量を増やすことではありません。
床下全体にどのような空気の流れをつくるか。
つまり、排気だけでなく「送風」「撹拌」を含めた換気設計が重要になります。
SEIHOの床下換気システムにも、排気型と撹拌型を組み合わせて床下の空気を動かすシステムがあります。
反対に「床下換気扇が向いていない住宅」もある
ここは非常に重要です。
床下の湿度が高ければ、すべて床下換気扇で解決できるわけではありません。
基礎断熱工法の住宅
特に注意したいのが基礎断熱工法です。
基礎断熱住宅では、基礎部分を断熱し、床下を外気から切り離して室内に近い温熱環境として扱う設計があります。
このような住宅では、従来型の床下換気のように外気を積極的に取り入れる方法が、住宅本来の設計と合わない場合があります。
そこで考え方を変えます。
「外気を取り入れて湿気を排出する」のではなく、「床下空間そのものを除湿する」。
SEIHOでは、このような床下環境に対応するため、基礎断熱工法にも対応した床下除湿システム「ドライ・プロ」を用意しています。
水漏れや床下浸水は、まず原因を取り除く
床下に湿気が多い原因が、給排水管からの水漏れや雨水の侵入である場合、床下換気扇だけでは根本的な解決にはなりません。
まず、
水の侵入原因を特定する
↓
排水・修理する
↓
床下を乾燥させる
という順序が必要です。
大雨や洪水によって床下浸水した場合も同様です。
水が残った状態で換気するのではなく、まず排水し、その後、床下の乾燥を進めます。
「何坪なら何台?」だけで床下換気扇を選ばない
床下換気扇についてよくあるのが、
「30坪の家なら何台必要ですか?」
という質問です。
住宅の広さはもちろん重要ですが、床下換気は単純に「坪数=換気扇の台数」だけで決められるものではありません。
確認したいのは、
- 建物の広さ
- 基礎の形状
- 床下内部の区画
- 換気口や基礎パッキンの位置
- 空気の入口と出口
- 床下内部の空気の流れ
- 湿気が滞留している場所
などです。
重要なのは、
「どれだけ強い風を送るか」ではなく、「床下全体にどう空気を流すか」
です。
梅雨や夏も24時間換気すればいい?
「床下が湿っているなら、24時間換気した方がいいのでは?」
と思うかもしれません。
ところが、梅雨や夏は外気そのものに多くの水蒸気が含まれていることがあります。
そのため、
湿った外気をいつでも大量に床下へ取り込めばよい
とは限りません。
床下の温度・湿度だけでなく、外気の状態も考えながら換気することが重要です。
SEIHOでは、タイマー運転のほか、水蒸気量(絶対湿度)を検知して排気・送風を制御する床下換気システムも展開しています。
▶ 製品情報:タービン・ユニット ハイブリッド床下換気システム
床下の湿気対策は「換気・除湿・調湿」を使い分ける
床下の湿気対策には、大きく分けて、
換気・除湿・調湿
という3つの考え方があります。
換気
床下に空気が滞留している場合に、機械的に空気を動かして湿った空気を排出します。
→ 床下換気システム
除湿
外気を積極的に取り込みにくい基礎断熱工法などでは、床下空間の水分を直接取り除きます。
→ 床下除湿システム「ドライ・プロ」
調湿
床下の湿度変化を穏やかにする方法として、竹炭などの調湿材を利用する方法もあります。
SEIHOでは、床下用の「床下乾々 竹炭マット」を用意しています。
住宅によっては、これらを組み合わせることもあります。
大切なのは、
どの方法が一番優れているかではなく、その住宅の構造と湿気の原因に合った方法を選ぶことです。
床下換気扇を設置する前に確認したい3つのポイント
床下換気扇を検討している場合は、まず次の3点を確認してみてください。
1.住宅の床下構造
床下換気口なのか、基礎パッキンなのか、基礎断熱なのか。
2.床下が湿っている原因
換気不足なのか、水漏れなのか、雨水なのか、地面からの水分なのか。
3.床下の空気の流れ
床下全体が湿っているのか、それとも特定の場所だけ湿度が高いのか。
この3点を確認することで、
「換気が必要なのか」「除湿が必要なのか」「調湿を組み合わせるのか」
を判断しやすくなります。
まとめ|床下換気扇は「付けること」より「どう空気を流すか」
床下換気扇は、床下に空気の流れをつくり、湿った空気を屋外へ排出するための設備です。
自然換気だけでは空気が滞留しやすい住宅では、床下環境を改善する方法のひとつになります。
一方、基礎断熱住宅や水漏れ・浸水などが原因となっている場合には、単純に床下換気扇を設置するだけでは十分な対策にならないことがあります。
だからこそ、
「床下が湿っている=換気扇を付ける」
ではなく、
住宅構造を確認する
↓
湿気の原因を確認する
↓
空気の流れを確認する
↓
換気・除湿・調湿から適切な方法を選ぶ
という順番が大切です。
床下は普段ほとんど目にすることがない場所です。
設備を取り付けること自体を目的にするのではなく、床下を長く健全な状態に保つことを目的に、その住宅に合った湿気対策を考えてみてください。
床下の湿気・換気についてお困りの方へ
SEIHOでは、住宅の構造や床下環境に合わせて、床下換気・床下除湿・調湿などの床下環境対策をご提案しています。
「床下換気扇を付けた方がいいのかわからない」
「基礎パッキン工法だけど換気できる?」
「基礎断熱なので、換気と除湿のどちらがいい?」
といった場合も、まずは住宅の床下構造と現在の状況を確認することから始めてみてください。