WIND FROM FUTURE 2003

SEASONS COLUM
SUMMER EDITION
株式会社 吉野白蟻研究所
代表取締役 吉野 弘章 氏

日本しろあり対策協会本部理事
日本しろあり対策協会九州支部理事

2-2003
SUMMER
EDITION

風と住まい
〜家屋害虫と風通しについて〜

 前号のニュースレターコラム欄に、福岡大学工学部教授の須貝先生から、住まいにおける換気の重要性についてご意見が掲載されていました。これは、室内の気密化による弊害と言ってもよいと思いますが、家屋の害虫に関しても、全く同様なことが言えます。

 高温多湿な日本の気候には、木造の建物がいちばん適した造りであると言われていますが、害虫防除の薬剤や機材がなかった時代は、どうやって家屋害虫を防いでいたのでしょうか?

 昔の日本家屋は、木造・土壁造りでした。建物の造りを木造とすることにより、開口部を広く取ることができます。壁や木材、畳などには、住空間の湿度を調整する機能もあります。窓を解放すれば、室内の湿度をより早く除去することができます。また、昔の家屋は、地面からの湿気を取り除くために床を高くし、床下を覗くと建物の向こう側が見える構造でした。夏と冬には、家族全員で、畳を上げて床下の大掃除もやっていました。家屋害虫の多くは風や太陽光に当たることを嫌います。日本人は、経験的に害虫を防ぐ術を知っていたと言えます。

 現在の建物は、コンクリートの基礎で頑丈にできています。室内もアルミサッシで密閉されています。基礎にはわずかな換気口は開いていますが、肝心な水周りのトイレ・浴室・洗面所といった所は完全に仕切られていることも多いようです。建物の換気の重要性を忘れてしまった現代人が、快適に過ごせる住空間を求めたため、害虫にとっても棲みやすいものとなってしまったようです。多少オーバーな表現をすれば、「すきま風がはいる家」の方が、害虫にとって棲みにくい環境であるかもしれません。

 昨今の害虫駆除、特にシロアリ防除は、より安全な薬剤を使用し、少しでも薬剤の量を減らす傾向が強くなってきました。その意味でも、風通しや湿気対策は、害虫防除の効果をさらに高める重要な役割を担うことになるでしょう。



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